2021年1月14日木曜日

第120回編集会議(2021年1月14日)

開催日時:2021年1月14日(木)
開催場所:岩本町事務所

(1)聖書メッセージ(井手北斗編集長、本文:イザヤ2:1〜5)

CTの文脈でこの御言葉を見るときにまず考えるのは、CTの報道理念の一つであるインターネットによる宣教。2002年当時、インターネットはまだ普及し始めたばかりで、使う人もあまり多くはなかった。キリスト教界でも、インターネットを使う教会や団体は限定的だったと思う。そのような環境の中でCTが始まった事実を思い出す。これが、どのような意味を持つことだったかを考えたい。

インターネットの歴史を見ると、もともとは米国防省で研究されていたネットワークが基になっていて、軍事的なものだった。これが民間に転用されて、最初は大学や研究機関が使うようになり、次第に一般人も使うようになった。キリスト教界もその流れに従って使うようになった。インターネットはもともと、作られた動機や利用方法が神様の願った通りのものではなく、逆に福音の妨げとなるようなものだった。しかしこれを、福音を伝えるのに有用な道具としてうまく転用していった。これがまさに、剣を鋤に、槍をかまに打ち直すことではないか。これが、インターネットを使ってCTを始めたことの意義ではないか。

学生時代から記者や技術者としてCTに関わっていたが、卒業後、米国で情報技術を研究する際に、技術がどのようにジャーナリズムに用いられているかについてはずっと調べていた。その時、技術とジャーナリズムが交差する場として、データジャーナリズムを知った。2011年ごろから勃興してきたといわれる。ジャーナリズムがもともとやっていた作業のステップがある。情報を集め、整理し、分かりやすく説明すること。この3つのステップについて、もともと人間が手作業でやっていたものを、手作業でできない規模やスピード、手法でコンピューターやソフトウェアの力を借りてやる。情報を集める際も、人力では集められない量の情報を集めることができるし、情報の整理や比較も、普通なら多くの時間がかかるものを短時間に処理できる。また、分析した情報を読者に分かりやすく伝えるために、これまでにはない方法で伝えられる。

2016年のパナマ文書事件で、データジャーナリズムが大活躍した。国際調査報道ジャーナリスト連合が入手した情報を、100を超える報道機関に公開し、タックスヘイブンと呼ばれる税率が低い小国に、国家指導者や大企業の重役、政治家、有名人などが、ペーパーカンパニーなどを設立して税金逃れをしていたことが浮き彫りになった。一応、合法ではあるが、本来払うべき税金を払わず、あってないような会社を使って隠すわけだから、ジャーナリストたちは倫理的な問題として目を向けた。

2・6テラバイトにもなる資料データのリークが、パナマの法律事務所からあった。情報があまりにも大量だったため、これをどのように報道すればよいかという課題に直面した。そこで登場したのが、データジャーナリズムという新しい手法だった。その時に使われた技術が、ちょうど自分が当時研究していたデータベースに近い特徴を持っていたので、関心を持つようになった。今年、CTの新しい取り組みとしてデータジャーナリズムを始めているが、その時と同じ技術を使っている。使いこなすには勉強が必要だが、ソフトウェア自体は無料で公開されている。

このような技術は神様が下さったプレゼントだと思う。どう使うかは使う側の意思と動機に委ねられている。これはインターネットと同じで、罪のために使うこともできる。しかし、無償かつ強力なツールがあり、他の人がうまく活用しているという状況がある中で、福音を伝える者はただ手をこまねいて見ていれば良いのか。いや、このようなものこそ、福音を伝えるために用いたい。CTとしても、宣教のためのデータジャーナリズムをやってみようという思いが与えられた。日本でもデータジャーナリズムが取り組まれてはいるが、米国ほどは広がっていない。日本のメディアの古い体制のままだとやりにくいのではないかといわれている。まだ日本でそれほど広がっていないからこそ、CTがやることの意義が増してくると考える。

16世紀にヨーロッパから宣教師らが日本にやってきたとき、ただ神学を学んでから来たのではなく、当時最先端の科学技術などを習得した人々が選抜されてやってきた。福音に関心がない日本人も最先端の科学技術や知識に驚嘆し、教えを乞い学ぶ人々も出てきた。キリスト教宣教においてそれがよく作用し、上流階級に福音を伝える良い機会になった。CTが最先端の技術に取り組むことで、最先端の技術に興味を持つ人々がCTを通して福音に触れる機会が生じるよう祈りたい。先端を走る人たちについていくこと、もしくはそれよりもっと先進的なことに挑戦すること。一人でも多くの人が救われるために、打ち直せるものはなんでも打ち直していくCTになることを願う。

(2)前回議事録の確認
(3)先月までの振り返り
(4)今後の予定